デジタル広告の世界に「素人革命」を起こしたい
ついに会社から公式にサービスのリリースを出しました。
たった1日で想像をはるかに超える数の方が会員登録してくださり、「自分の写真が売れる」ということに対するユーザーの期待値の高さを感じました。身が引き締まる思いです。ありがとうございます。
せっかくなので、何を思って私がこのサービスを作ったのか、最終的にはいったい何を目指しているのかについて、ここで所信表明をさせていただきたいと思います。
スナップマートのコンセプト
スナップマートは「スマホの写真が売れるアプリ」です。スマホの写真でなくても構いませんが、現在はスマホからしか写真を出品することができません。これは、出品の手間を簡素化してその分販売原価を安く抑えたいという狙いがあったからです。
写真を1枚100円〜という低価格で流通させるには「わざわざ高い機材で撮りに行った写真」は難しいだろうと思ったのです。自分がフォトグラファーだったら、やっぱりそれだけ手間暇かけて撮った写真が100円だったらテンション下がるなぁと。
でも、インスタやFacebookに載せるのために撮った記念写真や昔撮ってカメラロールに眠っている写真が「ついでに」売れるのであれば、もしかしたら「ラッキー」と思って貰えるかもしれない。皆に喜んでもらえるのではないだろうか。
そんな仮説を立ててサービスを設計しました。
メディアが「タダ乗り」をしてしまう理由
一方で、私はWebメディアの編集長や企業SNS運用を請け負う広告代理店で働いており、こうした画像コンテンツを必要とする側でもありました。
最近、Webメディアが他人のブログをパクってきたり、「キュレーション」という名のもとにAPIで他人のSNSの投稿を引用したりしていて(これ自体は規約にのっとっており転載とは違うのですが)、引用された側が不快感を示す事案が増えています。
確かに、自分がインスタにあげた写真が勝手に広告媒体に使われていたらびっくりすると思いますし、それで莫大なお金を儲けているとしたら、なんとなく嫌な気分になるかもしれません。
ただ、利用する側も必ずしも悪意があるわけでもないと思うのです。少なくとも自分がやっていたメディアでは、良いコンテンツには対価を払っても良いと思っていました。とはいえ、
・払える金額に限りがある(予算が少ない)
・手軽に払う方法がない
この2つの問題があり、それは実現しませんでした。
これがスムーズにできるような、マイクロコンテンツを少額で流通させられるプラットフォームを作れないだろうか?というのが、このサービスの着想のもう1つの原点でした。
「プロ」と「素人」の垣根はほぼなくなっている
このような問題が持ち上がるのも、それだけ「プロ」と「素人」の垣根が低くなってきているからでしょう。
スナップマートでも、βテストユーザーとしてインスタグラムで素敵な写真をアップしている方100名にお声がけしてご協力いただいたのですが、驚いたことにお声がけした方の99%は主婦や会社員、学生といった、いわゆる「素人」の方でした。
しかも、カメラ歴1〜2年という方も多く、中には本当にカメラ自体持っていなくてiPhoneしか持っていないという方もいらっしゃいました。だけど、パっと見た感じだとそれもわからないのです。
いまこの瞬間にもスナップマートにはたくさんの写真があがっていますが、モデルのバリエーションも多く、従来のフォトストックにはない感じの「自然な写真」が多く見受けられます。
私は写真のプロじゃないので評価することはできませんが、でも、見ていてとても楽しいです。素人クリエイティブならではの「雑多な色」が、これからこのサービスを彩ってくれるのではないかと期待が膨らみます。
Webはどんどん「リアル」に近づいていく
もう1つ「スマホの写真」に着眼した理由があります。それは、ネット広告業界というところに1年半ほど身を置かせていただきまして、世間はよりインターネットにリアルを求めているということを感じたからです。
従来であれば、広告のグラフィックには「ブランド価値があがるようなきれいなクリエティブ」を使うことが王道であったと思うのですが、ソーシャルメディアがインフラとして台頭してからはその様相が少し変わってきたように思います。
最近の若者は商品の口コミを調べるのにグーグルではなくツイッターやインスタグラムを使うようですが、これはまさに「作られた広告」ではなく「リアル」を求めているからでしょう。
今後はさらにここに「VR」という技術も加わり、インターネットはより「リアル」を投影した世界になると思います。そうなったときに「画像」「動画」「3D」といったビジュアルコンテンツの需要は、より一層高まっていくのではないかと。必然的に、クリエイターが不足するだろうと、そのように考えました。
たどり着きたいのは「嘘のない世界」
「リアル」を欲しているのは私も同様で、インターネットでは常に「真実」を見極めたいと思っています。資本主義が創りだした嘘には騙されたくはありません。
そう考えたときに、私の中に「葛藤」が起こります。というのも、現状「広告」は「リアルをありのままに投影している」とは言いがたいものだからです。
たとえば、昨今ネット広告業界では、猫も杓子も「インフルエンサー・マーケティング」を行っています。これは、SNSでフォロワーの多いインフルエンサーに商品を使ってもらってその感想などを書いてもらうというものなのですが、だいたいはそれ専門の会社か広告代理店が間に入って企業とインフルエンサーの仲介をしています。
これ自体、確かに効果がある施策ですし、私自身も場合によってはお客様に勧めることがあります。ただ一方で、消費者目線に立つと「なんか違うだろ」とも思うのです。「お金貰ってるんだから、その商品が本当に気に入ってるかどうかなんてわからないよね」と。
…そろそろ会社をクビになるかもしれないような気がしてきました。
いや、フォローさせていただくと、これも皆悪意があってやっているわけではないのです。皆が(とくに若者が)SNSで新しい商品を知ったり、口コミで良い商品を知る中で、良い商品を認知してもらう方法としてこういった手段をとるのは何も間違っていません。それが良い商品であれば、皆がハッピーになれます。
ただ、私はこれをさらに1歩進めて「本物のファン、本物のユーザーの写真、声」を自社の広告宣伝に活用できたら、それはもっと素晴らしいことではないかと思うのです。
スナップマートを通じて、消費者が製品やサービスを楽しんでいるリアルな姿を視覚化することにより、企業も消費者もハッピーになれるような「嘘のない世界」「本当に良いものが正当に評価される社会」を作っていけるのではないかと、そのように考えています。
企業の権利を守りながらオープンな世界を構築したい
というわけで、スナップマートでは通常のフォトストックでは取り扱えない「商品の写真」や「場所に紐付いた写真(お店やレジャー施設での写真)」の投稿をお願いしています。
ただ、これはそのまま野放しで売ると問題がありまくりなので、企業の知的所有権を侵害する恐れがあるものは「クローズド販売」という形で、その権利を保有している企業のみが購入できるという方式をとっています。
たとえばナイキの靴の写真はナイキさんだけ、東京ディズニーランドで撮ったシンデレラ城の写真はオリエンタルランドさんだけしか買えない、といった感じです。
まだ商標検知の精度が低いのであまり積極的にここを前面に押し出してはいないのですが、今後はどういった写真が売れるのか、どういった写真を企業さんが欲しがっているのかといったことをデータ分析しながら、ユーザーさんにお伝えできればと思っています。
まとめ
長くなりましたが、まとめますと、
・素人クリエイティブのクオリティが高まっている(ここに対価を支払う手段が必要ではないか)
・Webはよりリアルに近づいている
・広告に対する不信感を払拭したい
といった感じです。
まだまだ資金も調達できておらず、始まったばかりのシードの状態ではありますが、意味不明なほどに「これはたぶんうまくいく」という自信があります。
そして、これをやれるのは自分しかいないという、これまた意味不明な確信というか、使命感もあります。
まだまだこの思想に開発が追いついておらず、ユーザーの皆様にはご迷惑をおかけするかと思いますが、しばらく見守っていただけると大変うれしいです。
また、企業様、協業先などはオープンに募集しておりますので、なにかありましたらm.eto[@]snapmart.jpまで遠慮なくご相談ください(単なる営業は困りますが…)。
よろしくお願いいたします!